免疫の守護者「白血球」の話。
「風邪をひかないように免疫を上げないと。」など、何気なく使っている免疫という言葉。
しかし免疫とは何なのか、あまり具体的なイメージが湧かないのではないだろうか。
私たちの体は、内外からの様々な脅威にさらされている。
その中でも特に重要なのは、病原菌やウイルス、異物に対する防御機能だ。
この防御機能を担うのが、白血球である。
白血球は、免疫系の中心的な役割を果たしており、私たちの健康を守るために欠かせない存在なのだ。
白血球の分類。
白血球は大きく二つの種類に分類される。
一つは顆粒球で、もう一つは無顆粒球だ。
顆粒球には、好中球、好酸球、好塩基球が含まれ、無顆粒球にはリンパ球と単球が含まれる。
好中球:最も数が多く、細菌感染に対する初期の防御を担う。
血液中での寿命は短いが、迅速に感染部位に駆けつけ、細菌を貪食(食べる)し、破壊する。
好酸球:主に寄生虫感染やアレルギー反応に関与し、好酸球は炎症反応を引き起こす。
アレルギー性疾患や喘息の場合、好酸球が異常に活性化されることがある。
好塩基球:アレルギー反応や炎症に寄与し、ヒスタミンやその他の化学物質を放出して血管透過性※を増加させる。
リンパ球:免疫系の中でも特に重要な役割を果たす細胞で、T細胞とB細胞、NK細胞に大別される。
T細胞は感染細胞の破壊や免疫応答の調整を行い、B細胞は抗体を生成して抗原を排除する。
NK細胞はウイルス感染細胞や腫瘍細胞を特異的に攻撃する役割を持つ。
単球:血液中に存在し、感染や炎症が起こると組織に移行してマクロファージとなり、異物や死んだ細胞の貪食を行う。
※血管透過性:炎症が起こると、血管の内皮を形成している細胞が収縮し、細胞の隙間(細胞間隙)が開く。
これを血管透過性の亢進という。
そして血管内の水分や養分が血管の外にある細胞の間へ流れ出る。
これにより局所の浮腫を起こす。
アレルギーを発症したり怪我をしたりなどが原因で腫れるのはこれによるものだ。
この反応は、病気や怪我などで壊れた部分へ栄養を与えて治そうとする体の仕組みである。
白血球の免疫反応におけるメカニズム。
白血球の免疫応答は、マクロファージ、B細胞、T細胞、NK細胞などの異なるタイプの細胞が協力して行われる。
体内に病原体が侵入すると、白血球の働きが急速に活性化される。まず、マクロファージは体内に侵入した病原体を取り込み、分解・消化する。また、マクロファージは抗原を提示することで、T細胞やB細胞の活性化を促す。
B細胞は病原体や異物に直接結合し、それに対する特異的な抗体を産生する。
これにより、抗体は病原体を標識し、マクロファージやT細胞による攻撃を誘導することができる。
T細胞は抗原を認識し、異物を直接攻撃する細胞だ。
ヘルパーT細胞はB細胞やマクロファージを活性化し、免疫応答を調節する。
キラーT細胞は感染細胞を直接攻撃し、破壊する。
NK細胞は、細胞表面の異常なタンパク質を認識し、異常細胞を攻撃する。
これにより、ウイルス感染細胞やがん細胞などの異常な細胞を排除する。
このように、マクロファージ、B細胞、T細胞、NK細胞が連携して働くことで、体内の異物や病原体への免疫応答が効果的に行われるのだ。
免疫系のエラーは自分を攻撃することもある。
白血球の数や機能が正常であることは、健康な体を維持する上で非常に重要だ。
白血球が減少する白血球減少症は、感染症に対する脆弱性を高め、逆に白血球が異常に増加する白血病やリンパ腫は、免疫系の機能を損なう可能性がある。
また、リウマチや甲状腺疾患、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患は白血球が誤って自分の組織を攻撃してしまうことで発症する。
それによって慢性的な炎症や組織の損傷が引き起こされることがあるのだ。
おわりに。
白血球は、私たちの体の防御メカニズムの重要な要素だ。
日々、目に見えない敵と戦い、私たちの健康を守っている。
これらの細胞の働きを理解し、健康を維持するための生活習慣を心がけることが、免疫力の向上へとつながる。
普段の食生活や運動、ストレス管理が免疫系に与える影響を意識し、心身ともに健康でいられるよう努めることが大切だ。
水素吸入は、抗酸化作用により抗炎症効果を持つとされ、免疫機能をサポートする。
細胞の酸化ストレスを軽減し、免疫細胞の活性化を促進する可能性がある。
予防養生にはぜひ取り入れていきたい方法の一つだ。